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メタボリックシンドローム
今なにかと耳にすることが多いこの言葉、どんなものなのでしょうか?
肥満(この場合は内蔵型の肥満)をベースに危険因子がいくつも重なった状態をさします。何に対して危険かというと、虚血性心疾患(すなわち狭心症や心筋梗塞)になりやすいということです。
要はメタボリックシンドロームの人は、将来心筋梗塞を正常な人より起こしやすいということです。
今問題になっているのは、このような状態の人が多く、増加しているということです。
また、怖いのはこの状態だけではほとんど症状がないのです。
症状が出るのは心筋梗塞や狭心症を起こしたときです。
それでは遅すぎるのです。ですから、メタボリックシンドロームにならないよう努力が必要ですし、なっている人はそれからはずれるようにさらなる努力が必要です。
以下に診断基準を示します。該当する人は、かかりつけ医と相談してください。
条件は内蔵型肥満であることです。ウエスト径で測定します。(立位姿勢で軽く息を吐いて臍周囲で測定します)
男性≧85cm
女性≧90cm
これに加えて下記の2項目以上を満たす人はメタボリックシンドロームです。
- 高中性脂肪血症≧150mg/dLかつ/または低HDLコレステロール血症<40mg/dL
- 高いほうの血圧≧130mmHgかつ/または低いほうの血圧≧85mmHg
- 空腹時血糖≧110mg/dL
肥満
まずはあなたの肥満度をみてみましょう。
意外と太っていると思っても肥満ではないことが多いです。
以下の算出方法を使います。
BMI(ボディマスインデックス)の算出法
実測体重(kg)÷{身長(m)x身長(m)}
40以上:4度肥満
35以上40未満:3度肥満
30以上35未満:2度肥満
25以上30未満:1度肥満
18.5以上25未満:普通体重
18.5未満:低体重
検査値の見方・考え方
スリムな体でも、脂肪の占める割合が多すぎれば肥満です。
体重が正常域でも、体脂肪率が多すぎれば、肥満と判定します。(かくれ肥満)
肥満が、高血圧症や糖尿病、心疾患などの成人病を誘発することもあるので、ウェイトコントロールが必要です。
病的なやせの場合は精査と栄養状態の改善が必要です。
体脂肪率
体重の21(26)%:太りすぎ
体重の16(20)-20(25)%:標準
※( )内の数値は女性
注意しなさいといわれたらエネルギーオーバーに注意し、適度な運動でエネルギー消費を。
- 脂質、糖質を減らした適正カロリー食生活を継続して努力してください。
- 食べすぎと飲酒を制限(お酒のエネルギーは意外に高いです。)
- 年齢に合わせ、適度な運動でエネルギー消費を心がけてください。
規則正しい生活とバランスの取れた食事がなによりです。
無理なダイエットはあなたの健康を害する恐れがあります。
かかりつけ医にご相談ください。
塩分
1日の塩分摂取の目安はどれくらいでしょうか?
あなたはどれだけ塩分を摂ってますか?
一般に正常な人は1日の塩分摂取の目安は10gとされております。
では、10gってどれくらい?
小さじ一杯のお塩は5gです。
まだ実感がわきませんね。
小さじ一杯のおしょうゆは6gです。
今度お刺身を食べるとき、小さじ一杯のおしょうゆで食べてみてください。
実感がわきましたか?
お塩やおしょうゆは塩辛いので結構控えるかたは多いのですが、加工食品に含まれる塩分ってあまり知られておりませんし、わかりませんね。
実はこちらの方が塩分が多いのです。
例えばちくわ。1本に2.3gの塩分を含みます。はんぺんは1枚2g。食パン1枚にはおよそ1g。フランクフルトソーセージは1g。
どうです、結構はいっているでしょう。これらもすべて合わせて10gが目安です。皆さまももう一度見直しましょう。
また、高血圧のある方は1日の塩分摂取は6gまでとされております。
さらなる制限が必要なんですね。
また、塩分を身体から出す食品もあります。
カリウムを多く含む食品です。バナナや里芋や春菊など。
塩分を多く摂ったなと思われるときは、どうぞこれらの食品を摂ってください。
ただ、病気やお薬によってはカリウムを多く摂ると悪くなる場合がありますので、かかりつけ医とよく相談のうえ取り組んでください。
高血圧
血圧には上と下があります。上を収縮期血圧、下を拡張期血圧といいます。
では、どれくらいまでなら血圧は大丈夫なのでしょうか?
高齢者の場合、上が140、下が90までとされております。
若年、中年者では、上が130、下が85までです。
また、糖尿病や腎障害などがある人は、上が130、下が80までです。
それ以上の方は、食事や運動や薬物療法で目標値に達する必要があります。
該当する人は、かかりつけ医とよく相談のもと治療してください。
今、家庭血圧計が重視されております。
メリットはいつでも計れて、一日の変動もわかることです。
血圧が高めの人は、これを機にご購入を検討してください。
もってらっしゃる方は、少なくとも朝起きてすぐ(一般に1時間以内)に測定してみてください。
顔を洗ったり、着替えたりする前です。(排尿したいときは、先に済ましてください)
この値が上記基準を超える方は、治療が必要です。
また、白衣高血圧(病院や、白衣をみることで血圧が上がるひと)や仮面高血圧(白衣高血圧の逆です。病院で測ると正常ですが、仕事場などであがるひと)の方も、ぜひ家庭血圧計で測定してみてください。
高血圧の治療は食事療法、運動療法、薬物療法となります。
食事療法は主に塩分制限です。塩分の項目を参考にされてください。
また、適度な運動は血圧を下げる作用があります。ただしよくかかりつけ医と相談されてください。
薬物療法は現在いろんな薬物が存在します。自分にあった薬物をかかりつけ医とよく相談されてください。
骨粗鬆症
あなたの骨は減っている?増えている?
骨は日々生まれ変わっています。
一度作られたら変化しないように見えますが、骨を壊す細胞(破骨細胞)が古い骨を壊し(骨吸収)、骨を作る細胞(骨芽細胞)が新しい骨を作る(骨形成)という代謝を繰り返しています。
骨が減るのは骨吸収が亢進するから
閉経などの原因で骨吸収が増え、骨形成が追い付かなくなると骨量は減少し骨粗鬆症になります。カルシウム不足、運動不足等も原因になります。
骨吸収マーカーNTxとは
破壊された骨はNTxという残骸となって尿に排泄されます。
約10mlの尿でNTxを測定して「骨粗鬆症」に近づいているか、またそのスピードが速いか遅いかを予測できるようになりました。(今は血液でもわかります)
NTx値が高い=骨吸収が亢進していて、今後急速に骨がもろくなる可能性がある。
「骨量測定」+NTx
骨量測定だけでは現在の骨密度は分かりますが、骨の減り方が早いか遅いかわかりません。NTxを知れば、早いか遅いかを判断できます。
寝たきりにならないために
転倒骨折、関節疼痛、神経痛などは寝たきりの大きな原因です。
健康な骨作りこそ大切です。
特に閉経後の女性の方は、一度「NTx」を測定してみてはいかがですか。
NTxが高値で骨吸収が亢進している場合、それを抑える薬があります。
お近くの病院・診療所にてご相談ください。
糖尿病
皆さまも名前は知っているこの病気、いったいどんなものでしょうか。
尿に糖が出る病気と書いて糖尿病ですが、確かに血中の糖がある程度あがれば尿中に糖がでてきます。昔はくみ取り屋さん(水洗のない時代に、各家のし尿をとっていた人、実際にこういうかわかりませんが)がその家に糖尿の人がいると忠告していたそうです。
では、どれくらいの糖が血中(血糖といいます)にあると尿にでるのでしょうか。
およそ血糖値が160以上になると尿中に排泄されるといいます。
ですから尿検査で尿糖が陽性の人は要注意ですし、精査が必要です。
もともと糖は人間が生きていくためのエネルギーであり、ないと当然生きられません。
では、血糖が高いとエネルギーがたくさんあっていいのでは?と思われるかたもいるでしょう。
実は糖尿病とは、エネルギーである糖をうまく使えなくなる病気なんです。
血糖は各細胞(人間の身体はすべて細胞でできています)に運ばれ、インスリンというホルモンを使って細胞内にとりこみエネルギーとして使います。
糖尿病とは、このインスリンが少なくなったり、また、インスリンが作用しなくなって血糖をうまく使えなくなる病気なんです。
皆さま、蒸気機関車を思い浮かべてください。
機関車本体が皆さま。石炭が糖。機関士がインスリンです。
機関士が石炭を上手にくべることによって、機関車は動きます。
石炭は補充されますから(皆さまが食事を摂ることです)、機関士は石炭を釜にくべなければいけません。
もし機関士が怠け者だったら、あるいはいなかったらどうなるでしょう。
もちろん機関車は動きません。それどころか石炭がどんどん増えて故障してしまいます。
まさにその状態が糖尿病なのです。
血糖が高値のままだと、いろんなところに弊害がでます。
細い血管が特にやられ、それによって失明や腎不全や心筋梗塞、神経症などを起こします。
また、血糖が高いと免疫力も落ちます。細菌にたいして弱くなり、肺炎を起こしたり、結核になったりします。ですから、血糖をコントロールする必要があるのです。
では、糖尿病の治療はどうすればいいのでしょうか?
糖尿病には2種類あります。生まれながらにインスリンが少ないあるいはない人や手術などでインスリンを出せなくなった人がなる糖尿病と、インスリンがあるのにその作用が鈍くなる人がなる糖尿病です。
インスリンがないあるいは少ない人は、インスリンを補充するしか治療はありません。
今問題になっているのは後者の糖尿病です。その原因の第一は肥満です。
肥満になると、インスリンの作用が鈍くなります。それに加えてもともと肥満ですから、糖を多く摂ることが多いのです。それによって糖尿病がどんどん悪くなります。
まず必要な治療は痩せることです。それによってインスリンが作用するようになります。
ですからまずは食事、運動によって体重を戻していくことが治療の第一になります。
それでもダメな場合は薬物治療になります。糖尿病の薬物にはいくつか種類があります。
治療方法をかかりつけ医とよく相談し、治療を行ってください。
尿酸
尿酸という言葉は知らなくても痛風という言葉はよく耳にすると思います。
痛風の原因となるのがこの尿酸なんです。
痛風とはこの尿酸が結晶化し関節で炎症を引き起こす病気です。
読んで字のごとく風があたるだけでもとても痛い病気です。
かつてはぜいたく病とも言われましたが、この飽食の時代は、皆さまに可能性があります。
すでに痛風がある方はもちろん、ない方でも尿酸が高い人は治療しましょう。
また、痛風に関係なく尿酸値が高い人は将来虚血性心疾患のリスクが増加するといわれております。少なくとも他の危険因子(肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙など)がある方で、尿酸値が高値の方は治療してください。尿酸の治療はまずは食事療法からです。
尿酸のもととなるのがプリン体という物質です。
プリン体はあらゆる食べ物に含まれます。
特に多いのが肉類や干物類やビールなどです。
まずはこれらの食べ物は控えるようにしましょう。
それでも下がらない人は薬物療法が主になります。
かかりつけ医と相談し、治療をしてください。
これって何?の尿酸の項目もご参考になさってください。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)とは何でしょうか?
ガイドラインの定義によれば「有毒な粒子やガスの吸入によって生じた肺の炎症反応に基づく進行性の気流制限を呈する疾患」とされています。難しいですね。「私はそんなの吸ってないよ。」とおっしゃる方も多いでしょう。でも有毒な粒子やガスって何でしょうか?
それは排気ガスなどの大気汚染、タバコの煙などです。ですからほとんどの人が毎日吸っているんです。
特に喫煙(受動喫煙も含めて)が大きな原因の一つとなります。
喫煙している人の10~20%はCOPDになると言われています。
そしてじわじわと進行して正常には戻れないのです。
特に喫煙をする人は喫煙開始20年ぐらいしてから徐々に息切れしやすくなり慢性の咳や痰がでるようになります。それでも喫煙を続けるとさらに進行し、酸素を吸わないと生活できなくなります。
肺はスカスカとなり正常な機能が著しく低下いたします。
このスカスカの肺はもとには戻りません。ただし禁煙をすることでさらに悪化することを防ぐことはできます。少なくとも喫煙する人は一度は肺機能検査を受けてください。
COPDは肺機能検査で症状がなくてもある程度わかります。
肺機能検査でCOPDの兆候がある方は、最低でも40代前半までには禁煙をしたほうがいいでしょう。
COPDの治療はまずは禁煙です。根本的な治療はありませんから、悪化しないようにすることが大事です。
その他の治療は肺の気流制限を緩和することが主になります。
気管支を拡げるお薬を、内服したり、吸入したりいたします。
また、呼吸を楽にするために、腹式呼吸や口すぼめ呼吸の指導を行います。これを徹底されることで、将来酸素吸入を回避できることもあります。
長年喫煙をされている方や最近息切れをしやすくなった方は一度呼吸器内科を受診してください。
当院でも予約なしで肺機能検査など受けることができます。
ご相談ください。
気管支喘息
気管支とは空気の通るトンネルのことです。
皆さまは息を吸うと気管支を通って肺に空気が運ばれます。
そのトンネルが慢性的(いつもってことです)な炎症(赤く腫れぼったくなる状態です)を起こし、気管支が過敏になっている状態が気管支喘息です。
原因は多種にわたり、特定は難しいです。アレルギー体質がありなんらかの物質に強く反応し起こる場合もあれば、ストレスなどの神経性のものもあります。
若年者(小児喘息)はアトピー性(アレルギー性)のことが多く、成人はなんらかの感染(風邪をひいたり、気管支炎を起こしたり)をきっかけに炎症が慢性化するために起こることが多いです。
気管支が炎症を起こし過敏になっていると、ちょっとした刺激で気管支が収縮を起こしさらに細くなります。このような状態が喘息発作です。
例えばお部屋の掃除をしただけでハウスダストを多く吸い発作が誘発されたり、また、運動が刺激となり発作を起こしたり、ストレスなどの神経性の要因で起こしたりします。
ひどい発作になると完全に気管支がふさがって息ができない状態(窒息)を起こし危険な状態にもなります。このような発作は重積発作といい命にかかわります。
では喘息の治療はどうするのでしょう。
根本的な治療は気管支の炎症をとることです。
炎症をとるお薬は現在主流は吸入のステロイド剤です。
吸入とは吸うお薬のことで、薬の入った吸入器を使います。
吸入のメリットは病変が気管支ですので、直接局所にお薬がいき、全身への影響が少ないということです。
またデメリットは吸入器を使うのに慣れがある程度必要ということです。個人差はありますが。
その他のお薬は、発作を改善する即効的な気管支を拡げる薬や、気管支を拡げておく薬などです。
これらのお薬を使うと症状が改善しますが、根本的には気管支の炎症が治らなければいけません。
決して症状が改善したからといって、自分の判断でお薬を止めることはしないでください。
先の重積発作を起こす人は、きちんとお薬を使わない人に多くみられます。
主治医と相談のもと治療してください。
肺年齢
COPD(詳しくはCOPDの項目をご覧ください)、WHOの報告では2020年には世界の死因の第3位になると言われております。
日本でも40歳以上で8.4%の人が罹っていると思われますが、実際に診断されるのはその10%ぐらいだと言われております。
COPDの初期症状で息切れがありますが、それもついつい年のせいとしてしまって気づかない方も多いようです。
そこで日本呼吸器学会がCOPDの早期発見と予防のために「肺年齢」というものを奨励しております。
よく「血管年齢」とか「骨年齢」とか言われますが、それと同じように「肺年齢」を測定することで自分の肺機能をより身近に感じやすくなります。
「肺年齢」は肺機能検査をする病院、診療所で測定することができます。
当院でも予約なしでできます。
「肺年齢」が実年齢より高い方は、今後実年齢に近づけるだめに努力が必要です。
タバコを吸われる方はもちろん禁煙によって可能です。
またすでにCOPDに罹ってる方でも、治療によって今後の肺機能の低下を抑えることが可能です。
かかりつけの先生とよくご相談ください。